以前、児童養護施設で学習ボランティアを
していたことがあります。
その施設の学習ボランティアは
家庭教師みたいなもので1対1での学習です。
私は英語を教えていました。
担当していたのは中学1年生の男の子。
職員の方の話によると父親は不在。
妹が一人いるのですが、妹は母親の元で
育てられていて、彼だけが施設に預けられている
という複雑な家庭環境でした。
その祐樹君(仮名)と会ったのは中1の7月頃
だったと思います。
英語はあまりできませんでした。
なので、アルファベットの小文字やローマ字から
練習をしたのを覚えています。
週1回の学習ボランティア。
回を重ねていくごとに気付いたのは
祐樹君は単語を書くのは苦手だけど、
発音を覚えるのは得意だということ。
そして、意外と発音も良い
たまに、私がその日の出来事を
全て英語で話してどんなことを言っていたのか
クイズにすると見事聞き取っていたことが
分かりました。
でも、テストは30点以下が続きます。
成績は「1」でした。
それでも一緒に学習を続けているうちに
変化がありました。
テストの点数はさほど変わらなくても
間違える内容が違ってきたんです。
答え合わせを一緒にすると
自分で間違えに気付き、正しい答えを
書けるようになりました。
彼の英語力はみるみる上達していきました。
それでも中3まで成績は「1」でした。
そして、高校へ進学。
高1の1学期の英語の成績はなんと「5」
高校に入って一気に英語力がついたということではなく
高校でのテストが祐樹君の英語力を高く評価できる
内容だった、ということなのだろうなと思いました。
テストはその子の能力のごくごく一部しか
反映されません。
なので、成績=能力ではないということを
実感させられました。
祐樹君は高校卒業後、海外で料理人になりたい
という夢を持ち、料理学校の専門学校へ
進学しました。
いつか海外で彼の料理が高く評価される日が来たら
素敵だな
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テスト・成績はその子のごく一部を反映したもの
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