米国に住んでいた10代の頃はサンフランシスコへ行って
JapanenseTownで 日本のCDを買ったりしたことがあったので
日系人の存在は知っていました。
でも、まさか戦前アラスカへ渡った日本人がいたとは
思ってもいませんでした。
北極圏のコッツビューで出会った女性。
名前はビービックス。
一瞬、この人も先住民族かな?と思ったら
おじいちゃんが日本人と言っていました。
「おじいちゃんの苗字はモトって言うんだけど
本当はもっと長かったの。
ヤマモトが省略されてモトになったって言ってたよ」
おじいちゃんの遺品を見せてくれました。
長篇小説傑作集。
流行歌浪花節と兵隊
日系人向けの新聞
どんな思いで日本を離れたんだろう。
どんな思いでこれを持っていたんだろう。
何十年も日本を離れていても
もしかしたら離れていたからこそ
祖国への思いは深かったのかもしれません。
海外で暮らす。
私も4年間米国に住んでいたことがあったけれど
それは父の仕事で一時的だと分かって住んでいました。
日本に帰ることを前提に。
遠い昔、日本を離れてアラスカへ渡った
ビービックスのおじいさんはどんな思いを持っていたんだろう。
ただ旅人としてアラスカを訪れていた私には
それを想像してもいまいち実感できません。
でも、それでいい気がしました。
体験した人にしか分からないことがある。
アメリカ人にしか分からないこと。
日本人にしか分からないこと。
先住民族にしか分からないこと。
祖国を離れてアラスカに移民することを決意した
人にしか分からないこと。
自分と立場の違う人たちの思いを理解しようと
努めることは大事だけど
なんでも理解した気になってしまうのは
ちょっと傲慢な感じがします。
分からないことがある方が
私はその人たちを尊重している気がしました。